東京高等裁判所 昭和57年(行ケ)83号 判決
原告主張の本件審決を取消すべき事由の存否について判断する。
本願商標から「パンビー」の称呼を生じ、引用商標から「バンビ」の称呼を生ずることについては、当事者間に争いがない。そこで、両者の称呼を対比するに、いずれも第二音の撥音「ン」を共通にし、第一音、第三音に差異がある。
その差異についてみるに、第一音は、いずれも母音〔a〕を共通にし、ともに両唇を閉錯して破裂させる子音として、それぞれ「ハ」の半濁音と濁音との関係にある「パ」と「バ」であつて、極めて近似した音であり、また、第三音は、いずれも「ビ」を共通にし、異なるところは前者が長音「ビー」であるのに対し、後者は短音「ビ」に過ぎず、しかも、前者が語頭に声調の強い無声破裂音〔p〕を含む「パ」と撥音「ン」に続く三音目にあることから、その長音も必ずしも明確に発声・聴取されるとはいい難く、これもまた互いに極めて近似した音というほかはない。
しかも、「パンビー」なる文字の構成は、その商標創作の意図としての原告主張のような由来の有無にかかわらず、一般的に感得されるところでは、特定の意味を持たない通常の創造語とみるほかないから、一連に称呼するとき、本願商標「パンビー」は、引用商標「バンビ」に、全体的に極めて紛らわしく類似する商標といわねばならない。
なお、成立に争いのない甲第九号証、第一〇号証、第一一号証の一ないし九八、第一二号証の一ないし八、第一三号証、第一四号証の一ないし五、第一五号証の一・二、第一六号証によれば、原告主張のような、本願商標とほぼ構成を同じくする商標についての権利の取得、その原告取扱い商品「骨製剤」についての使用が当該商品の需要者に相当程度普及していた事実が認められるけれども、いずれも何ら右認定を左右するものではない。
なお、本願商標の指定商品が引用商標のそれと牴触することは、前記認定に照らし明らかである。
そうすると、本願商標が引用商標と類似する商標であるから、商標法第四条第一項第一一号の規定に該当するものとした審決の判断に誤りはなく、原告主張のような違法はない。
そうすると、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求は、理由がなく、棄却するほかはない。